アスリートの食事管理、撮るだけで何が変わる?原田エミリー選手の気づき

アスリートの食事管理、撮るだけで何が変わる?原田エミリー選手の気づき

ちゃんと食べているつもりでも、足りていない栄養はある。お米の量を毎食量っている選手でさえ、記録を続けて初めて「補食まで入れて、やっと足りる日がある」と気づいたといいます。

400mHに取り組む原田エミリー選手に、カロサポを使い始めてからの食事記録、体重との向き合い方、撮り続けて見えてきたことを聞きました。聞き手は株式会社Welsup代表の中谷。原田選手の食事面を見てきた山口栄養士にも、ところどころ補足してもらっています。

■ 原田エミリー選手について

筑波大学陸上競技部に所属する400mHの選手。専門種目は400mH、出身は宮崎県・宮崎南高校、自己ベストは、58'68です。

主な実績は、インターハイ5位、U20日本選手権7位入賞、日本学生個人選手権4位、関東インカレ3位、静岡国際出場など。今年度は、日本選手権への出場権も手に入れるなど躍進をみせています。全国・国際の舞台を経験してきた原田選手に、日々の食事記録が競技生活の中でどう使われているのかを聞きました。


■ スピードも持久力も。自分は「パワー寄り」のタイプ

Q.400mHでは、どんな身体づくりが必要ですか。

原田選手:「スピードと持久力がどちらも必要だと思います。女子は、パワーがある人より、どちらかというとエコノミカルに身体を動かせる人が多いイメージがあります。でも私はそのタイプではなくて、400mHの中でも筋肉があってパワー系という感覚があります。」

400mHは、スピードだけでなくレース後半まで動き続ける持久力も求められる種目。その中で原田選手は、自分を筋肉量があるパワー寄りのタイプと捉えています。この「自分はどういう身体か」という自己認識が、後の食事や減量の判断にもつながっていきます。

■ 大学で、食事を「自分で管理する」生活に変わった

Q.大学に入ってから、食事との向き合い方は変わりましたか。

原田選手:「高校までは親に食事を全部任せていました。大学に入ってから自分でやることになって、ご飯の作り方も、作るタイミングも、全部自分で管理するのが初めてでした。最初は全然分からなかったです。ただ、最初から山口さんにサポートしてもらって、徐々に慣れていきました。」

山口栄養士:「入学前に短距離の監督・コーチから、何人か食生活を見てあげてくれないかという話があり、そこに原田選手の名前が入っていました。最初は何人かと話しながらサポートしていたのが始まりです。最近は、自分で体組成を測って、食事も記録して、必要なときに話す形になっています。」

家族任せだった食事を、入学後は自分で考える生活へ。今は原田選手が体組成と食事を記録し、必要なときだけ山口栄養士に相談する——「全部見てもらう」から「自分で回して、要点だけ相談する」へと、関わり方そのものが変わってきています。

■「AIが正確だから、なんだかんだ続いた」

Q.カロサポを使う前は、食事をどう見ていましたか。

原田選手:「以前も食事は記録しておこうと思って、別のアプリで写真だけ入れていました。ただAIはあまり使えなかったので、後から見返せればいいかな、くらいの感覚でした。」

Q.カロサポを使ってみて、これは続きそうと感じた瞬間はありましたか。

原田選手:「カロサポはAIが正確で、ちゃんといろいろ出てくるので把握しやすいです。写真を撮ってすぐ入れるだけでいいので、なんだかんだ続いていました。」

以前から食事写真を残す習慣はありましたが、それは「あとで確認するための記録」でした。撮るだけで栄養量まで見えるようになったことで、同じ「撮る」という行為が、食事量を把握する手段に変わっています。

■ 記録は「これくらい食べたら、体重がこうなる」の指標になった

Q. 撮るだけの記録は、競技生活に馴染みましたか。

原田選手:「もともとの生活ルーティンに自然に入っていました。減量しようとしていた時期は、いつもどれくらい食べているのかを把握して、そこから普段より少し減らしていく指標にしていました。最近は減らそうというより、とりあえず記録して、これくらい食べていたら体重がこうなる、という指標になっています。自分の中で数値として見えるので、把握しやすくなりました。」

Q. 記録が溜まって、食事や身体について気づいたことはありますか。

原田選手:「どれくらいカロリーを摂っているかが分かるようになりました。体重が増えていた時期に比べると摂取量は減ったと思うのですが、その摂取量が安定してきたので、体重を維持できているのかなと思います。」

Q. 体重、練習中の動き、気持ちの面で変わったと感じることはありますか。

原田選手:「体重は人によると思いますが、私の場合は体重が減った分だけ結構動けるようになってきています。競技の適性としては、体重が増えていた時期より今の方が合っていると思います。動きやすくなりました。」

摂取量・体重・筋肉量・体脂肪率を別々の数字として見るのではなく、「練習中の動きやすさ」と合わせて読む。記録は、この感覚と数値を結びつけるための材料になっています。

■ 3食ちゃんと食べても、炭水化物は足りなかった

Q. 1ヶ月半撮ってみて、意外だったことはありますか。

原田選手:「お米の量だけは3食測っているのですが、3食ちゃんと食べても炭水化物が足りないことがあって、補食をちゃんと食べてやっと足りるくらいなんだと気づきました。」

山口栄養士:「アスリート向けの炭水化物の推奨量は、一般向けよりも高く設定されています。ですが現状、必要量を満たしていない選手が多いです。」

ここが、記録して初めて見えたものの代表例です。お米を毎食量っている——つまり一般的にはかなり意識が高い——原田選手でさえ、主食の3食だけでは炭水化物が足りない日がある。補食まで含めて数値で見て、ようやく「足りていなかった」と分かりました。「ちゃんと食べているつもり」と「実際に足りているか」は別の話で、その差は記録しないと見えてこない、というのがこのインタビューで最も汎用的な学びかもしれません。

■ 絞りたい時期でも、炭水化物はけちらない

Q. 練習後の食事で意識していることは何ですか。

原田選手:「タンパク質はしっかり摂ることと、炭水化物を制限しすぎないことです。練習前後は、練習にいい影響を及ぼす食事をしたいです。回復のためにも炭水化物とタンパク質をしっかり摂りたいので、減量中だから夜だけ炭水化物を抜く、少なめにする、ということはしたくないです。減らすときは、毎食少しずつ減らすようにしていました。」

山口栄養士:「絞りたいという気持ちから、トレーニングに必要なエネルギーまで削ってしまう選手もいます。その中で糖質をけちらないという考え方は大切です。炭水化物が足りないと代謝が抑制され、エネルギーの消費効率も悪くなる。数値として見えていて、それを意識できているのは大きなメリットだと思います。」

減量中の「夜だけ炭水化物オフ」ではなく、必要なら毎食を少しずつ調整する。練習の質と回復を落とさないための、原田選手なりの線引きです。

■ 量は削らず、選ぶものを変える

Q. 体重を絞りたい時期でも、削らないものはありますか。

原田選手:「練習後の炭水化物を制限しすぎないこと。あとは、食べるのが好きなので量は削りたくなくて、脂質が少ないものや、量を食べてもカロリーが上がりすぎないものを食べるようにしてました。野菜、魚、ささみ、鶏むねなどです。ずっと我慢していると、どこかで爆発して食べてしまいそうなので、とりあえず量は食べるようにしていました。」

Q. 外食や遠征、好きな食べ物との付き合い方を教えてください。

原田選手:「外食は週に何回も行くわけではないので、行く時は好きなものを食べるようにしています。今は試合が多いので、試合が終わった直後は気にせず食べています。昨日も試合の後外食をして好きなものを気にせずに食べました。」

山口栄養士:「日ごとの変動の大きい食べ方はあまりおすすめできません。ベースを保ちつつ、ご褒美の時は気にせず食べるというのは、心理的な負担も軽減できるため、継続するためのポイントになっていると思います。」

「量を減らす」のではなく「選ぶものを変える」。そして外食や試合後は頻度とタイミングを踏まえて好きなものを食べる。制限し続けるのではなく、戻れるベースを持っておく——原田選手の食事はそういう形に近いようです。

■ 数字は見る。でも、数字だけでは決めない

Q. 数字とは、どう付き合っていますか。

原田選手:「数値は見ていますが、気にしすぎないようにしています。体感で、今日ちょっと足りないな、練習中に若干力が出ないな、と思ったら、足りていないのかなと思って、感覚で食べるようにしています。最近は授業が始まって、昼食の時間が早く、練習まで持たなくてお腹が空くようになりました。だから、食べる回数は増えている気がします。」

数字は確認するが、最終的に決めるのは空腹感や練習中の力の出方。授業の都合で昼食から練習まで時間が空く日は、感覚に合わせて食べる回数を増やしています。数値と体感を行き来できるのは、記録で「いつもの自分」の基準ができているからこそです。

■ 記録できない日は、無理に取り返さない

Q. 記録できない日はどうしていますか。

原田選手:「特に気にしていないです。できるときに撮ろう、という感じです。文字で入れる時もあれば、忘れて何もしない日もあります。うまくいかなかった日は、そういう日もあるよねと思って、次の日に戻そうくらいの感じです。プラスマイナスで帳尻を合わせるようなことは、あまりしないようにしています。」

大きく食べた翌日に極端に減らすのではなく、次の日にいつもの流れへ戻すだけ。この「取り返そうとしない」距離感も、記録を続けられている理由のひとつです。

■ これから食事と向き合いたい人へ

原田選手:「まず記録することです。何も気にせずに記録してみて、自分の食事を把握することだと思います。」

カロサポは、食事を撮るだけでカロリー・PFC・食物繊維・食塩などをAIが自動解析する食事記録アプリです。商品名や「半分残した」といった補足をテキストで添えたり、あとから自然文で修正したりもできます。まずは今日の1食だけ、撮って残してみてください。

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■ 次回予告

次回は、原田選手の「1日の食卓」をもう少し具体的に聞いていきます。朝、昼、夜、補食、練習前後、試合の日。アスリートの食事は特別なメニューばかりなのか、それとも日常の延長にあるのかを紹介します。