
アスリートの食事と聞くと、特別な食材や厳密なメニューを想像するかもしれません。400mHに取り組む原田エミリー選手に1日の食卓を聞くと、基本はもっと日常的でした。三食を食べる。昼は弁当を持っていく。練習まで時間が空く日は、パンや和菓子などの補食をプラスする。
前回は、原田選手がカロサポで食事を撮り続け、体重や体の動きとの関係をどう見ているかを聞きました。今回はその続きとして、朝、昼、夜、補食、試合日の食事をもう少し具体的に見ていきます。聞き手は株式会社Welsup代表の中谷。原田選手の食事面を見てきた山口栄養士にも、ところどころ補足してもらっています。
■ 原田エミリー選手について
筑波大学陸上競技部に所属する400mHの選手。専門種目は400mH、出身は宮崎県・宮崎南高校、自己ベストはです。
主な実績は、インターハイ5位、U20日本選手権7位入賞、日本学生個人選手権4位、関東インカレ3位、静岡国際出場など。今年度は、日本選手権への出場権も手に入れるなど躍進をみせています。全国・国際の舞台を経験してきた原田選手に、日々の食事記録が競技生活の中でどう使われているのかを聞きました。
■ 目的を持った食材選択
Q. アスリートというと特別な食事を想像します。実際の1日の食事はどんな感じですか。
原田選手:「意識していることは、必ず三食食べること、朝からしっかりタンパク質を摂ることと、練習前には炭水化物、練習後には炭水化物とタンパク質を摂るようにしています。」
原田選手の食事は、「特別なものを食べる」というより、まず三食を抜かないことが土台です。そのうえで、朝にはタンパク質を補給する。練習がある日は、動く前のエネルギー補給と動いた後のリカバリーを意識して補食を摂る。競技者らしさは、目的を持った食材選択や摂取タイミングの置き方にありました。
■ 夜に2食分作って、昼は弁当を持っていく
Q. 食堂・自炊・コンビニなどはどう使い分けていますか。
原田選手:「自炊が多いです。外食も普通に行きますが、基本は自炊です。補食は買うこともあります。昼はお弁当を持っていきます。夜に2食分作って、朝は詰めるだけにしています。」
毎食をその場で考えるのではなく、夜に2食分を作り、翌日の昼は弁当にする。これは、忙しい大学生活と練習を両立するための現実的な形です。
朝に一から準備するのではなく、前日の夜に少し先回りしておく。昼食の形が決まっていると、授業や練習の予定がある日でも、食事のベースを崩しにくくなります。
■ 午後練の日は、補食を活用してエネルギー補給
Q. 練習前は何を食べると動きやすいですか。
原田選手:「今は午後練なので、昼を12時前くらいに食べて、練習が17時くらいからです。お腹が空くので、練習前にパンや和菓子系を食べることが多いです。土日の朝練習の時は、普通に朝ごはんで、お米と、卵やプロテイン飲料などでタンパク質を摂ります。私は日本食の方が好きで、お米が好きです。」
午後練の日は、昼食から練習まで5時間ほど空きます。昼に弁当を食べて終わりではなく、練習前にパンや和菓子系を入れてつなぐ。この補食が、練習時のエネルギー源となり、練習の質を高める役割をしています。
一方で、土日の朝練習の日は、朝食としてお米と卵やプロテイン飲料などでタンパク質を摂る。原田選手は、練習の時間帯に合わせて、食事と補食の置き方を変えています。
■ 食べるものだけでなく、食べた時間も残しておく
山口栄養士:「運動の直前に食べ過ぎたり、脂質の多いものを食べると、動き始めて気持ち悪くなることがあります。食事なら2-3時間は空けると良いといわれています。原田選手が食べている和菓子などの補食なら、消化スピードは早く、練習前の補給に適しています。」
山口栄養士が見ているのは、何を食べたかだけではありません。食べた時間と、練習が始まる時間。その間隔も、練習の質に関わります。
たとえば「昼食を12時前に食べて、17時から練習」「練習前にどら焼きを食べた」という記録が残っていると、あとから見返したときに、その日の空腹感や練習中の感覚とつなげやすくなります。写真やメモで食事を残す意味は、栄養素量だけでなく、こうしたタイミングの確認にもあります。
■ 試合前日は、変えすぎない
Q. 試合前日・当日の食事は普段と変えますか。定番にしている食べ物はありますか。
原田選手:「前日は、消化が良いものを食べるようにしています。揚げ物などは避けて、脂質が少なめなものを意識しています。ただ、試合でホテルに泊まる時などは、周りにお店がなくて、結局チェーン店などで食べることもあります。以前は結構気にして食事を選んでいましたが、最近は気にしすぎることがなくなってきました。」
試合前日は、消化の良さそうなものを選ぶ。揚げ物など脂質が多いものは少し避ける。ただし、遠征先では選択肢が限られることもあります。
だから、毎回理想どおりの食事にするというより、その場で選べるものの中から調整する。原田選手は、食事の記録を積み重ね、自分に合った形を作ってきたからこそ、以前ほど神経質になりすぎないようにもなっているそうです。
■ 試合当日は、朝食と補食でつなぐ
原田選手:「当日は朝は普通に食べて、お米とタンパク質を摂ります。1日に複数レースがある場合のレース間は、ほぼ補食しか摂っていないです。試合日の炭水化物は、朝と夜以外は補食で摂っていて、おにぎり、どら焼き、カステラなどを食べています。」
試合当日の朝は、普段の朝食に近い形でお米とタンパク質を摂る。その後、レースの合間は、おにぎり、どら焼き、カステラなどの補食でつなぐ。
ここでも、特別なメニューが並んでいるわけではありません。大事なのは、食べやすいものを、動く時間に合わせて補給すること。試合日の食事は、気合いを入れた特別食というより、競技の流れに合わせた小さな調整の積み重ねです。
■ 1日の食卓は、練習時間に合わせて組み立てる
原田選手の1日は、特別な料理でできているわけではありません。朝食、昼食、夕食、補食、試合日の食事はどれも身近なものですが、「いつ食べるか」「練習まで持つか」「試合中に食べやすいか」を見ながら選ばれていました。
前回見えてきたのは、食事を撮り続けることで、体重や体の動きとの関係に気づけることでした。今回見えてきたのは、その記録の中身です。朝食、昼食、夜食、補食、試合日の食事。それぞれを別々に見るのではなく、1日の流れとして見ると、食事が競技生活の中でどう働いているかが分かりやすくなります。
カロサポは、食事を撮るだけでカロリー・PFC・食物繊維・食塩などをAIが自動解析する食事記録アプリです。商品名や「半分残した」といった補足をテキストで添えたり、あとから自然文で修正したりもできます。
まずは、今日の食事を1日の流れとして残してみる。朝、昼、夜、補食のどこに空白があるのか。どのタイミングで食べると動きやすいのか。そこが見えてくると、食事は少しずつ、自分の生活や練習に合う形へ整えやすくなります。
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