コーヒーは寝る何時間前まで?カフェインは「時刻」より「量」で変わる

コーヒーは寝る何時間前まで?カフェインは「時刻」より「量」で変わる

■ コーヒーは寝る何時間前まで?「6時間前」だけでは決めきれない

コーヒーを何時間前に切り上げるかは、カフェインの量で変わります。「寝る6時間前」は目安の一つで、全員共通の線ではありません。まず摂取量と就寝までの時間を見て、数日分の記録で自分の反応を確かめます。

2025年4月号の学術誌『Sleep』に掲載された試験では、100mgと400mgで結果が分かれました。100mgでは、就寝4・8・12時間前のいずれも有意な影響は確認されませんでした。400mgを1回で摂った条件では、就寝12時間前でも客観的な睡眠指標に変化が見られました。

この結果だけで、100mgなら誰でも寝る4時間前まで大丈夫とは言えません。対象は健康な若年男性23人で、試したのはカプセルによる単回摂取です。研究の数字は、自分の飲み方を見直す目安として使います。

■ 「寝る6時間前まで」が粗くなる理由

厚生労働省の睡眠に関する解説資料では、カフェインの半減期は3〜7時間とされています。摂取総量が増えると夜の眠りを浅くする可能性があるため、特に夕方以降を避けるよう案内しています。半減期にこれだけ幅があるため、同じ時刻に同じ量を飲んでも、就寝時に残る量は人によって変わります。

出典: 厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」

「1杯」の中身も一定ではありません。カップの大きさや濃さに加え、同じ日にお茶やエナジードリンクを重ねれば、その日の合計は増えます。

確認は量から始めます。商品名とサイズを残し、カフェイン表示があればmg数を転記する。そこに、就寝まで何時間あったかを足します。最後の1杯だけを早めても、その前にまとまった量を摂っていれば全体像は変わりません。

■ 100mgと400mgでは結果が分かれた

『Sleep』のランダム化クロスオーバー試験では、習慣的なカフェイン摂取量が1日300mg未満の健康な男性23人(平均25.3歳)が、次の7条件をそれぞれ体験しました。

  • プラセボ

  • カフェイン100mgを就寝12・8・4時間前に1回摂る3条件

  • カフェイン400mgを就寝12・8・4時間前に1回摂る3条件

試験は二重盲検で、各条件の間には48時間の間隔が置かれました。睡眠は、自宅での簡易睡眠ポリグラフと睡眠日誌の両方で評価されています。なお、飲み物を飲む試験ではなく、無水カフェイン入りのカプセルを使った試験です。

条件

この試験で確認されたこと

読み方の注意

100mg

就寝4・8・12時間前のいずれも、客観・主観の睡眠指標に有意な影響は確認されなかった

「誰にでも影響がない」ことの証明ではない

400mg

就寝12時間前でも、持続的な睡眠に入るまでの時間や深いノンレム睡眠(N3)に影響した

400mgを1回で摂った条件。複数回に分けた場合は未検証

400mgを就寝に近い時刻で摂取

就寝4時間前では入眠や睡眠効率、途中覚醒などへの影響がより大きかった

量だけでなく、就寝までの時間も影響する

400mgを就寝12時間前に摂った条件では、プラセボと比べて、持続的な睡眠に入るまでの時間が推定15.3分長く、N3睡眠は推定20.6分短くなりました。就寝8時間前では睡眠中の覚醒時間が推定29.1分増え、4時間前では睡眠効率が推定9.5ポイント低下するなど、就寝に近づくほど影響が広がっています。

主観的な睡眠の質に有意な影響が出たのは、400mgを就寝4時間前に摂った条件でした。8時間前と12時間前では確認されていません。客観的な変化と本人の感覚が一致しない場合もあります。

■ 飲み物ごとのカフェイン量は、商品とサイズで見る

研究で使われた100mgと400mgを杯数に換算するには、飲んだ量と商品ごとの含有量が必要です。食品安全委員会が示す代表値では、コーヒーは200mLで120mg、エナジードリンクは355mLで142mgです。デカフェコーヒーにも200mLで12mgという例があります。

出典: 食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ:カフェイン」

これは代表値です。実際の含有量は商品や抽出方法、濃さ、サイズによって変わります。エナジードリンクや栄養ドリンクは、ラベルに1本あたりのカフェイン量があれば、その数字を使います。

夕方のコーヒーだけを見ても、昼までに大きなコーヒーを何杯か飲み、エナジードリンクも重ねていれば、その日の量は分かりません。その日の合計と、1回にまとまった量を確認します。

■ 3〜7日分を並べて、自分の区切りを決める

最初の3〜7日は、普段どおりに飲んで量を確認します。残すのは次の4項目です。

残すこと

書き方の例

商品名・飲み物

ドリップコーヒー、カフェラテ、エナジードリンクの商品名

飲んだ量

200mL、マグ1杯、1本

カフェイン量・時刻

表示があればmg、飲み始めた時刻

睡眠の感覚

寝つき、夜中に起きた感覚、翌朝のすっきり感

「15:30、コーヒー200mL、カフェイン量は表示なし、23:30就寝、寝つきはいつも通り」のように、1回を1行で残せば十分です。

1. 量が多い日を見つける

数日を横に並べ、商品やサイズ、飲み物を重ねた日に偏りがないかを確認します。眠りが気になった1日だけでは、たまたまの体調や生活時間と区別できません。

2. 遅い1杯を少し動かす

偏りが見えたら、いちばん遅い1杯を1〜2時間早めます。時刻を変えにくい日は、サイズを小さくするかデカフェに替えます。試すのは一度に一つです。

3. 就寝時刻から逆算する

就寝時刻が日によって違う人は、「寝る何時間前まで」で記録します。「午後3時まで」のような固定時刻より、生活時間のずれを反映できます。量が多かった日は、サイズや杯数も見直します。

■ この試験の対象は若年男性23人

  • 対象は18〜40歳の健康な男性で、習慣的なカフェイン摂取量が1日300mg未満の人に限られる

  • カフェイン100mgまたは400mgを、一度にカプセルで摂った条件である

  • 同じ合計量を一日に分けて飲んだ場合は検証していない

  • 各条件の睡眠測定は1晩で、食事内容や自宅の光・音などは完全には統一されていない

論文では、カフェインの代謝速度や感受性に関わる遺伝的な個人差にも触れています。試験内では遺伝型による統計的な差は確認されませんでしたが、その差を検出する規模には設計されていませんでした。

妊娠中は、食品安全委員会もカフェインの摂りすぎにいつも以上の注意を促しています。服薬中でカフェインについて医師や薬剤師から指示を受けている人は、その指示を優先してください。動悸、強い不安感、長く続く不眠などがある場合は、記録だけで解決しようとせず、医療機関へ相談しましょう。

■ 飲料記録と「睡眠の質」を同じ週で見る

カロサポでは、飲んだときにテキスト入力で「商品名・量」を食事記録として残せます。体調記録には「睡眠の質」があり、体重を入力しない日でも体調だけを残せます。

たとえば、午後に飲んだ商品名とサイズを残し、翌朝に睡眠の質を残す。同じ週を見返せば、「大きいサイズが続いた」「遅い時刻の1杯が3日続いた」といった偏りを確認できます。mg数が分からない飲み物も、商品名とサイズがあれば、あとからラベルを見直せます。

ダウンロードはこちらから



■ まず量を見て、次に時刻を動かす

2025年の試験では、100mgと400mgで睡眠への影響が異なりました。400mgを1回で摂ると、就寝12時間前でも客観的な変化が確認されています。100mgでは有意な影響が確認されませんでしたが、若年男性23人の結果を全員には広げられません。

3〜7日分が並んだら、量が多い日と遅い1杯を探します。変えるのは、時刻かサイズのどちらか一つ。前後を比べれば、自分の区切りを決める材料になります。