
■ 超加工食品は「全部避ける食品一覧」ではない
超加工食品とは、主にNOVA分類で使われる「加工の程度と目的」による区分です。冷凍や缶詰だから該当するわけではなく、反対に「高たんぱく」「糖質オフ」と書かれた商品でも超加工食品になることがあります。
大切なのは、分類名だけで一品を決めつけないことです。見るポイントは次の3つです。
どのような加工・原材料の商品か
栄養成分はどうなっているか
何の代わりに、どのくらいの頻度で使うか
プロテインや栄養バーも、この3つを分けて考えると選びやすくなります。
■ 超加工食品とは?NOVAの4分類で見る
FAOが紹介するNOVA分類では、食品を4つのグループに分けます。
分類 | 考え方 | 身近な例 |
|---|---|---|
NOVA 1 | 未加工または最小限の加工 | 野菜、果物、卵、肉、魚、牛乳、無糖ヨーグルト、冷凍野菜 |
NOVA 2 | 調理に使う加工原料 | 油、砂糖、塩、バター |
NOVA 3 | 比較的シンプルな加工食品 | 魚の缶詰、チーズ、塩水漬けの野菜、シンプルなパン |
NOVA 4 | 抽出・精製した成分や添加物などを組み合わせた工業的な製品 | 清涼飲料、包装菓子、再構成肉製品、一部の冷凍調理品や栄養バー |

ポイントは、加工した事実だけでは決まらないことです。冷凍野菜は通常NOVA 1、魚と塩などで作る缶詰はNOVA 3になり得ます。一方、同じ「パン」「ヨーグルト」「冷凍食品」でも、原材料や製法によって分類は変わります。
商品情報だけでは製造工程のすべてが分からず、専門家間でも判定が揺れる場合があります。2026年の分類方法に関する系統的レビューでも、測定や分類のばらつきが課題として挙げられています。NOVAは便利な整理法ですが、個々の食品の栄養価や安全性を採点する制度ではありません。
■ 食べるとどうなる?一回ではなく、食事パターンの研究
超加工食品を一度食べた直後に、特定の病気になると示した研究ではありません。現在分かっていることは、短期の食事試験と、長期間の食習慣を追った研究に分けて見る必要があります。
2019年の入院試験では、20人が超加工食品中心と未加工食品中心の食事を各2週間、好きなだけ食べました。提示された栄養素を合わせた条件でも、超加工食品の期間は平均摂取エネルギーが1日約508kcal多く、平均0.9kg増えました。未加工食品の期間は平均0.9kg減りました。対象者が少なく、期間も短い試験です。
出典: Hallほか『Cell Metabolism』2019
2025年の別の試験では、英国の食事ガイドに沿う食事を、超加工食品中心と最小限加工食品中心で各8週間比べました。どちらの期間でも体重は減りましたが、最小限加工食品中心のほうが減少幅は大きくなりました。「超加工食品なら必ず太る」と単純化できない結果でもあります。
出典: Dickenほか『Nature Medicine』2025
長期の観察研究をまとめた2024年のレビューでは、超加工食品の摂取が多い食事と、複数の健康上好ましくない結果との関連が報告されています。ただし、多くは観察研究です。生活習慣や所得、食品へのアクセスなどの影響を完全には分けられず、「加工工程だけが原因」とは言い切れません。
出典: BMJ「Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes」2024
WHOも超加工食品に関するガイドラインを策定中です。2026年8月時点では、研究の更新が続いている段階だと捉えるのが適切です。
出典: WHO「Guideline Development Group for ultra-processed foods」
■ 身近な食品は「商品ごと」に見る
カテゴリ名だけで決めず、同じ役割を持つ商品同士で比べます。置き換えも、手間や持ち運びやすさを大きく変えないものから考えます。
よくある場面 | 超加工食品に該当しやすい例 | 同じ役割を残す候補 |
|---|---|---|
飲み物 | 清涼飲料、加糖・香料入り飲料 | 水、無糖茶、炭酸水、牛乳、無調整豆乳 |
間食 | スナック菓子、包装された焼き菓子 | 果物、無塩ナッツ、プレーンヨーグルト、チーズ |
朝食 | 甘いシリアル、菓子パン、栄養バー | オートミール、卵、果物、原材料が比較的シンプルなパン |
主菜 | ナゲット、ソーセージ、再構成された肉・魚製品 | 卵、豆腐、魚、肉、豆類、味付けがシンプルな缶詰 |
時間がない食事 | 一部の即席麺や調理済み冷凍食品 | パックご飯+魚や豆の缶詰+冷凍野菜 |
運動後・補食 | プロテインバー、加糖プロテイン飲料 | 牛乳、豆乳、ヨーグルト、卵。必要ならプロテインも用途を決めて使う |
冷凍、缶詰、発酵、包装を避ける必要はありません。冷凍野菜や味付けのシンプルな缶詰は、調理の手間を増やさずに食事を組み立てる助けになります。
■ 原材料名と栄養成分表示は、この順で見る
パッケージ正面の「高たんぱく」「食物繊維入り」「糖質オフ」は、商品の一つの特徴です。それだけでは、加工度も食事全体への向き不向きも分かりません。裏面を次の順で見ます。
表示単位:1本、1食、100gのどれか
原材料名:元の食品と、抽出・精製した成分や添加物の組み合わせ
栄養成分表示:エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量
追加表示:書かれていれば食物繊維、糖類、飽和脂肪酸
自分に必要な確認:アレルゲン、量、胃腸との相性

消費者庁の案内によると、容器包装に入れられた一般用加工食品は、原則としてエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の表示が必要です。食物繊維と飽和脂肪酸は推奨、糖類などは任意なので、書かれていない商品もあります。
原材料が長い、知らないカタカナがある、という理由だけで危険とは判断できません。添加物がNOVA分類の手がかりになることと、個別の添加物の安全性は別の話です。日本で使用が認められた添加物には、安全性評価や使用基準があります。一方、表示には一括名や表示不要となる例外もあり、原材料欄だけで製造工程のすべてが分かるわけではありません。
■ 健康のために選ぶ商品は、3つの問いで考える
プロテイン、栄養バー、栄養強化シリアル、完全栄養をうたう食品、糖質や脂質を抑えた商品、植物性代替食品。これらは健康の目的に役立つ場面がある一方、NOVAでは超加工食品に分類されることがあります。
ここで「健康商品なのに超加工食品だから矛盾している」と考える必要はありません。健康をうたう表示とNOVAは、見ているものが違います。栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品といった日本の制度も、加工度を示す仕組みではありません。

1. 何が入っている?
期待する栄養素だけでなく、エネルギー、糖類、脂質、食塩相当量、食物繊維も確認します。同じ「高たんぱく」でも、中身は商品ごとに違います。
2. 何と置き換わる?
清涼飲料の代わりにプロテイン飲料を選ぶのか、朝食の代わりに栄養バーだけを食べるのか、食事に補助として足すのか。置き換わるものによって意味は変わります。
3. どのくらい使う?
忙しい日の補助として使うのか、朝食も間食も夕食も似た商品に寄っているのかを見ます。一品の分類より、食事全体で占める位置を確かめます。
■ プロテインは超加工食品?分類と使い道を分ける
プロテインバーやプロテインドリンクは、NOVA 4の代表例に含まれます。パウダーも、分離・加水分解したたんぱく質に香料、甘味料、乳化剤などを組み合わせた製品は、超加工食品に該当しやすいと考えられます。
ただし、超加工食品という分類だけで、運動後の補食としての便利さや、たんぱく質を補える点まで否定することはできません。Australian Institute of Sportの資料も、まず食品から考えることを基本としつつ、保存や準備が難しい場面ではサプリメントが役立つと整理しています。
選ぶときは、次を確認します。
1回量のたんぱく質だけでなく、エネルギー、炭水化物・糖類、脂質、食塩相当量を見る
バーやドリンクだけで食事を済ませる回数が増え、野菜、果物、穀類などが抜けていないかを見る
乳・大豆などのアレルゲンや、甘味料・糖アルコールと自分の胃腸の相性を確認する
競技者は加工度とは別に、競技団体の方針や禁止物質のバッチテストを確認する
腎臓病などでたんぱく質量の調整が必要な人は、自己判断で増やさず、医師や管理栄養士に確認してください。
■ 置き換えるなら、一番よく使う一枠から
全部を一度に変える必要はありません。毎日の甘い飲み物、午後の菓子、朝食のバー、運動後の補食など、よく繰り返す一枠を選びます。
たとえば朝食が栄養バーだけなら、バーを禁止するのではなく、果物やプレーンヨーグルトを添える日を作る。甘い飲み物が続いていれば、1本を無糖茶や炭酸水にする。プロテインが食事代わりになっていれば、パックご飯、卵、冷凍野菜など、準備の少ない食品を一つ足します。
変える前と後を数日だけ残すと、無理なく続く置き換えが見つけやすくなります。
■ 食事を残すと、繰り返している場所が見えてくる
カロサポでは、食事の写真からカロリー、PFC、食物繊維、食塩などを記録できます。パッケージの栄養成分表示も撮影して読み取れるので、加工度だけでなく、同じ種類の商品を栄養成分で比べたいときにも使えます。
カロサポが超加工食品を自動判定するわけではありません。まず数日分を残し、飲み物、間食、朝食などで同じ選択が重なっている場所を見つける。その一枠だけを別の候補と比べる使い方がおすすめです。
ダウンロードはこちらから
■ 加工度だけでなく、栄養と役割を重ねて見る
超加工食品は、加工の程度と目的による分類です。一品を食べた瞬間の害を示す一覧でも、栄養価の点数でもありません。
健康によさそうな商品も超加工食品になり得ますが、その分類だけで利便性や栄養上の役割までゼロにはできません。原材料名と栄養成分表示を見て、何の代わりに、どのくらい使うかを重ねます。
最初に変えるなら、食事全体ではなく、いつも繰り返す一枠からで十分です。

